海外のFlashゲーム関連サービス その1 Mochi Media

世界最大のFlashゲーム広告ネットワーク会社、Mochi Mediaについて簡単に説明します。

注意:ここに書いたことは個人的に調べた事実に基づいています。中には勘違いなどもあるかも知れません。鵜呑みにせずできるだけご自身で調べてみてください。また、この内容からなんらかの不利益があってもnjfは一切関知しません。またコメントがあってもそれに返信することはありません。

はじめに

Mochi MediaはFlash内の広告を配信する会社です。他にこのようなサービスを行っている会社として、CPMStar、googleなどがあります。またすでにサービスを停止してしまいましたが、GAMEJACKETという会社もありました。このうちgoogleの提供しているサービスはあまり人気がないようでほとんど見かけません。CPMStarはサービスを受けるためには開発者だけではなく、別にスポンサーの登録が必要なのでスポンサーシップを獲得して、かつスポンサーの意向を確かめないといけないので少し面倒です。ここではこのうちもっとも日本人にとって敷居が低いと思われるMochi Mediaについて簡単に解説します。

一言で広告配信と言ってもその機能は多様です。そしてそれらは次の四つに分類されます。

1.Developer、つまり開発者向け機能
2.Publisher、つまりサイト管理者向け機能
3.Advertiser、つまり広告主向け機能
4.Community、つまり情報交換の場所

です。

このうち広告主向けの機能を使うことはまれでしょうから、残りの3つについて順に解説していきます。

開発者向け機能

ゲーム開発者向けの機能はMochi Mediaのサービスの中ではもっとも豊富です。

まず、swfを登録するとそのプリローダーに広告を入れる、mochi adsと呼ばれる機能があります。通常はプリローダ広告のみを使う場合が多いですが、Mochi Mediaが提供しているAPIを使うとゲーム内部に広告を入れることも可能です。広告の表示には一応簡単な審査がありますが、ほとんど落ちることはないようです。日本語ゲームでも大丈夫です。ただし、mochi adsは現状英語の広告が中心なので日本語ゲームの収入はあまり多くはならないでしょう。開発者が複数いる場合は広告収入を自動的に分配することも可能です。支払いは未払い分が100ドル以上になると通常はその2ヶ月後の月初めにpaypalで送られます。

広告は完全に消したり、サイトによって消す事も出来るので、自分のサイトでは表示せず、他では表示させると言ったことも出来ます。

ランキング機能を利用することも出来ます。ランキングはゲーム内で表示することも、専用のタグでhtmlに埋め込むことも出来ます。

登録されたswfは簡単な暗号化を施されます。これによりある程度ソースコードの流出を防ぐことが出来ます。

入れた広告がどの程度表示されているかや、どのサイトで表示されているかなどの統計を出す機能もあります。さらに専用のAPIを使うと、一度のアクセスでユーザーがどれくらいの時間プレイしたか、何回ぐらいプレイしたか、さらに特定のイベントの回数の取得など、もっと詳しい統計情報も得られるようになります。

swfをホストしてくれる機能もあります。Mochi Mediaに登録したゲームのswfはタグをhtmlに埋め込むだけでどのサイトでも簡単に表示できるようになります。そのため、開発者は自分のサイトにゲームを公開するときにも転送量を気にしなくてすむようになります。もちろん、swfをダウンロードしてそれを自分のサイトにホストすることも可能です。

ゲームサイト管理者に向けて自分のゲームを紹介してくれる機能もあります。これに登録しておくと、ゲームサイトの管理者がゲームを自分のサイトにホストしてくれるときがあります。そうなると、そこからの広告収入も得られるようになります。

配布したswfのバージョン管理機能もあります。もしゲームにバグが見つかったとしても、Mochi Mediaに登録しているゲームを差し替えるだけで、ネットワークにつながっていれば世界中に散らばったswfが書き換えられます。仕組みとしてはswfがロードされるときにMochi Mediaに接続して、更新差分を適用するようになっているようです。また、以前のバージョンに戻すのも簡単にできます。

少額課金のシステムも用意されています。mochicoinという機能を使うと、ゲーム内で課金を行うことが出来ます。またこのときユーザー情報などをサーバーに保存することも出来るので、簡単なユーザー管理もできます。

twitterやFacebookといったソーシャルサイトとの連携機能も用意されています。これによってソーシャルゲーム開発が可能です。

他にも細々とありますが、総じて開発者にとってかなり便利な機能がそろっています。これら機能は基本的に無料で利用できます。登録のための条件もありませんが、広告料振り込みのためにpaypalのアカウントは用意しておく必要があります。広告のアクセス当たりの収入の方は正直あまり多くはありません。今のところ広告が英語中心ですが、実際には中国、韓国、ヨーロッパ、南米などからのアクセスが多いためです。しかし、これだけ機能があれば利用する価値は十分にあります。

サイト管理者向け機能

ゲームサイトの管理者向け機能はシンプルです。開発者が公開を許可しているゲームをブラウズできるようになっているので、そこから気に入ったゲームを探してホストするだけです。サイトのドメインを登録しておいてswfをそのサイトにホストした場合はゲーム内の広告からもサイト管理者に収入が得られるようになっています。
またゲームのリストはXMLとJSON形式でも配布されているため、技術があれば数日でそのリストから巨大なゲームサイトを作成する事も可能です。ただし、そのようなサイトは英語圏ではすでにいくつも存在するため、何か差別化を行わないとほとんどアクセスは期待できないでしょう。

コミュニティ

コミュニティにはゲーム制作からその現金化などについての知識がまとめられているwikiや、ユーザーが自由に発言できるスレッド式の掲示板が用意されています。またユーザーがどんな発言をしてきたか、誰かに感謝されるような事を発言したかなどが参照できるユーザー管理機能もあります。

Mochi Media公式のブログではアンケートやマーケット統計情報などが公開され、定期的に総額数千~数万ドル程度のゲームコンテストも行われています。もはや賞金の出るFlashゲームコンテストがほとんど行われない日本とは別世界のようです。

今後

Mochi Mediaはまだ新しい会社なので今後どうなっていくかは不透明な部分もあります。実際、GAMEJACKETという同様のサービスを行っていたサイトは業績の悪化から2009年10月に閉鎖されてしまいました。しかし、Mochi Mediaは2010年1月に中国の大手オンラインゲーム会社、上海盛大網絡発展有限公司によって買収されたので、経営基盤は強化されすぐに無くなると言うことはないでしょう。
ちなみにこのときの買収額は日本円で70億円以上です。出来て間もないベンチャー企業がこれだけの額で買収されるというのは、海外のFlashゲームの市場の大きさを象徴するような出来事でした。
また中国の会社に買収されたせいか、すでのMochi Mediaには中国語版も登場しています(http://zh-cn.mochimedia.com/)。今後中国のインターネットユーザーは急激に数を伸ばしていくと考えられます。Mochi Mediaもそれにあわせてさらに成長していくかも知れません。

参考サイト

Mochi Media
http://www.mochimedia.com
盛大網絡:米Mochi Media社を買収
http://www.chinapress.jp/it/19731/

Share

One Comment

  1. 名無しの老婆 より:

    今朝PCを開いてみたら、海外のゲームサイトにAttentionが表示され、mochi mediaが来る3月末日をもってサービス停止とのこと。海外のサイトではニュースとしても取り上げられていました。…ということは、ゲーム開発者とサイト管理者が同一人物でないゲームのまとめサイトなどは、当分無料で遊べなくなってしまうということなのでしょうか?
    老婆の密かな楽しみを奪わないでorz

コメントする